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2010/09/05
18:00:11
文化祭に出展した小説「四季で紡ぐ愛言葉」です。
一応長編の部類に当たります。

追記から設定等々。

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13:27:51
 意識がはっきりしない。頭がぐらぐらして、何が何なのか認識できない。
 一つだけ覚えている。大好きなあの人が泣いている。
 普段は泣かないのに……。何か悲しい事でもあったの?
 ああ、そうか。私、死ぬんだ。
 だから、あの人が泣いているのか。
 これで今の私の状況が把握できた。
 此処は病院だ。
 私の周りには見覚えのある難しそうな機械と、白衣を着た先生や看護師さんが額に汗を浮かべて何か忙しそうにしている。
 そして、私の隣には大好きな人が泣きながら私を見ている。
「泣かないで」
 酸素マスクに邪魔されながら、彼を慰める。
 私の声が聞こえたのか、彼は涙を粗雑に拭った。
「男の子なんだから、泣いちゃダメだよ」
 私の言葉に、彼は強がってこう言う。
「誰の所為で泣いていると思ってるんだ」
 そうだった。私の所為で泣いているんだった。
「ごめんね」
「謝るなよ」
「うん」
 ちょっと怒った風に言う。彼の方が年上なのに、可愛いと思う。
 先生達の声が大きくなってきた。
 死期がもう目の前まで迫っていることを思い知らされる。
 ──まだ、死にたくない!
 しかし、神様は意地悪をする。
 ああ、もう無理なんだ。
 不意に、昔の記憶が蘇る。
 幼稚園の運動会、小学校の入学式、中学校の文化祭、高校の修学旅行。
 そして、大学で初めて彼と出会った事。
 これが走馬灯か…。
 こんな早いうちにお目にかかれるなんて。
 私は自嘲する。
 だんだん、息が苦しくなってきた気がする。
 終止符を打つ前に、言わなきゃ。
 私は力なく酸素マスクを外す。
 彼や、先生達が驚いた顔をして私を見る。
「何をしてるんだ!」
 彼は驚愕した顔で叫んだ。
「ごめんね…。長生きできなくて……。」
「それより酸素マスクを着けてっ!」
「ううん、いいのもう……。」
「いいって、そんな…!」
「もう、無理なの。それは…自分が一番分かるの…」
「無理じゃないっ! 無理なんか…じゃ……」
 嗚咽交じりに彼は言う。
 そんな彼の頬に自分の青白い手を添える。
「あのね、最後に一つだけお願いを聞いて欲しいの…」
「最後だなんて、言うなよ」
「お願い」
自分でも驚く程、凛とした声が出た。
私の声に彼は諦めたみたいだ。
なんだ、いつもの優しい声音で言う。
「うん。あのね…最後は笑って…見送って欲しいの…」
「っ……。ああ、わかった」
彼は私の最後の我侭を聞いてくれた。
「ありがとう」
私の記憶はそこで途切れた。
私が大好きな彼の笑顔を最期にして────。


  ◆     ◆     ◆


 桂木 尊 享年二十三歳。
 四月十五日永眠。


  ◆     ◆     ◆


 「春─チューリップ・永遠の愛─」 

21:47:25
暗闇の中に、灯が灯った。
 その光は闇夜を浮遊して、私と彼を照らしてくれる。
「雪みたいだね」
「そうだね」
 ノースリーブのワンピースだけだったから、肌寒かったけど、彼と繋いだ手だけはとても暖かかった。
「連れてきてくれてありがとう。尊」
「一緒に来てくれてありがとう。義幸君」
 小さな私は彼を見上げ、大きな彼は私を見下ろしてお互い顔を見合わせた。
 そして、心からの笑顔を作る。
 また、此処に来よう。
 二人で約束をした。
 けど、それはもう叶うことのない約束。


  ◆     ◆     ◆


「夏─ヘリクリサム・永遠の思い出─」

09:01:34
義幸君、これから貴方に私の全てを伝えます。
 過去の事、貴方の事、私の想い。
 全て、全て、貴方に伝えます。
 手紙に託して。


  ◆     ◆     ◆


「秋─ケイトウ・色褪せない恋─」

22:03:47
 よく覚えている。
 あの時は雪が降っていてホワイトクリスマスだったね。
 街はイルミネーションで輝いていて、別世界みたいだった。
 街路樹は綺麗に飾られていた。
 その中の、中央にある一際大きな木の前で、貴方は抱き締めてくれた。
 暖かかったなあ。
 そうして、私に、永遠の愛を誓ってくれた。
 私は嬉しくて泣いてしまった。
 ありがとう。こんな私に温もりを与えてくれて。
 ありがとう。こんな私を好きになってくれて。
 ごめんね。先に行くね。


  ◆     ◆     ◆


「冬─スターチス・永遠に変わらない誓い─」

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プロフィール

朝邑深門

Author:朝邑深門
駄文を書く程度の能力を持った物書き。
書く(晒せる)小説のジャンルはオリジナルのみ。
嫁と歌い手さんが好き過ぎて生きるのが辛い。
ニコ厨というか歌い手厨です。

似たような趣味の方がいらっしゃったら気軽にお声かけてください。
最近は超次元テニスにお熱。

そしてこれでも高校生。

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